強力なパスワードか、それとも二要素認証(2FA)か?
2026年2月17日火曜日
私たちが日常的に利用する多くのサービスでは、アクセス時のセキュリティ対策として、主にパスワード認証が用いられています。近年では、二要素認証(2FA)が新たな標準として広まり、一部のウェブサイトでは必須要件となりつつあります。本号では、二要素認証(2FA)を利用することのメリットとデメリットについて考察します。
メール、ソーシャルメディア、オンラインバンキング、公的機関のサイト、オンラインショッピング、企業ネットワークや各種アプリケーション──私たちの日常生活は、デジタル化の進展によって大きな影響を受けています。
こうした状況下では、利用するサービスの数が増える一方で、できるだけ管理を簡素化したいと考えるのも自然な流れでしょう。しかし、その簡素化が、不正アクセスのリスクを大幅に高めてしまう場合があります。
過去の The Anti-virus Times では、パスワードマネージャーに関する詳細な特集記事を掲載し、パスワード管理を簡単かつ安全に行うための専用ユーティリティの利点を紹介しました。同時に、マスターパスワード漏洩のリスクや、特定製品に潜在的な脆弱性が存在する可能性といった欠点についても触れています。当時、パスワードマネージャーは、複数のシステムやサービスを利用するユーザーにとって、有効なソリューションと考えられていました。
その1年後には、強力なパスワードを作成するためのヒントを紹介する新たな記事が公開され、利用するサービスの特性を分析したうえで、パスワード作成の基本ルールが提案されました。
それからさらに2年が経過した現在、状況はどのように変化したのでしょうか。
パスワード入力そのものが不要になったわけではありませんが、強力なパスワードを作成すること以上に、二要素認証の重要性が強く認識されるようになっています。
2FAについて
サービスごとに異なるパスワードを使用し、推測が困難な長く複雑なパスワードを作成する──こうした対策は、次第にIT専門家向けの作業になりつつあります。一方で、多くの一般ユーザーは、より簡単な方法を選びがちです。たとえば、パスワードを「覚えない」ことを前提とし、ログインのたびに再設定するという方法です。特に利用頻度の低いオンラインショッピングサイトなどでは、覚えておく必要のない強力なパスワードを設定し、必要なときだけ再生成する方が、実用的な場合もあります。
二要素認証(2段階認証、略して2FA)は、こうした状況においてアカウントのセキュリティを大きく向上させます。この仕組みは、不正侵入を防ぐとともに、万が一パスワードが盗まれた場合でも、追加の保護レイヤーを提供します。メールやソーシャルメディアのアカウント、さらには一部のオンラインショッピングサイトなど、多くのオンラインサービスで利用可能です。
2FAを有効にすると、ユーザー名とパスワードに加えて、SMSやメール、認証アプリ、専用のセキュリティキー、あるいは生体認証などを通じて送信される一時的なワンタイムコードの入力が求められます。
この確認リクエストは、初回ログイン時や新しいデバイスからのアクセス時、または定期的なログイン時など、サービスや設定内容に応じて送信されます。未知のデバイスがアカウントに接続しようとした際に、重要な防御手段として機能するのです。
つまり、二要素認証によって保護されたアカウントへの新規接続を許可できるのは、正規のユーザー本人のみとなります。
ただし、SMSを利用した認証には注意点もあります。SMSは、その性質上、傍受やなりすましといったリスクを完全に排除できず、通信の安全性が携帯電話事業者やネットワークに依存しているためです。実際、携帯電話ネットワークそのものが攻撃対象となる事例も少なくありません。5Gの普及によりモバイルセキュリティは向上していますが、事業者インフラを狙った攻撃手法はいまだ数多く存在しています。
このほか、モバイルアプリを利用した認証方法も広く採用されています。2FA対応サービスでは、ウェブサイト上に表示されるQRコードを認証アプリでスキャンすることで設定が行われます。認証アプリは30~60秒ごとに変化するワンタイムパスワード(TOTP:Time-based One-Time Password、またはOTP)を生成し、ユーザーはログイン時にそのコードを入力します。時間制限が設けられているため、攻撃者がコードを悪用することは極めて困難になります。
二要素認証 (2FA):今後の展開を考察
二要素認証は、事実上の標準的なセキュリティ手法となっています。その最大の利点は、ユーザーに気付かれずにパスワードだけを使ってアカウントへ侵入することを、極めて困難にする点です。攻撃者がログインを試みると、アクセスが拒否されるだけでなく、その試行自体がユーザーに通知されます。これにより、ユーザーは不正アクセスを即座に把握し、必要に応じてパスワード変更などの対策を取ることができます。
もっとも、二要素認証も万能ではありません。場合によっては、セキュリティコードの組み合わせを自動的に試すことで、回避される可能性もあります。さらなる安全性を求める場合、多要素認証(MFA)の導入が有効です。MFAでは、アクセスを許可するために、複数の異なる認証要素が求められます。
多要素認証は、認証セキュリティを強化する手段として注目を集めています。仮に攻撃者がパスワードを盗み出したとしても、生体認証、SMSコード、セキュリティキーなど、複数の障壁を突破しなければなりません。この複雑さによって、不正アクセスが成功する可能性は大きく低下します。
また、多要素認証はフィッシングやブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)など、さまざまな攻撃手法に対しても有効と考えられています。ただし、設定が不適切であったり、多要素認証の仕組みが正しく理解されていなかったりすると、依然として回避されるリスクが残る点にも注意が必要です。
The Anti-virus Timesは、以下のセキュリティ対策を推奨します。
- 各種リソースへのアクセス状況を見直しましょう。複数のウェブサイトで同じ、あるいは似たパスワードを使っていませんか?すべて異なるパスワードを使用する場合、いくつのパスワードが必要になるでしょうか。パスワードマネージャーは、セキュリティと利便性の向上に役立つ場合があります。
- パスワードマネージャーを利用する際は、非常に強力なマスターパスワードを設定してください。マスターパスワードを失うと、保存されているデータベース全体にアクセスできなくなる可能性があります。
- パスワードだけでは十分な保護とは言えません。特に重要なサービスやウェブサイトでは、二要素認証の利用をぜひ検討してください。
- ワンタイムコードを受信する別デバイスについても、適切な保護対策が必要です。SMSを用いた二要素認証は、企業環境においては大きなリスクを伴う場合があります。
- マルウェアやスパイウェアだけでなく、フィッシングや詐欺サイトからの保護も含めた、信頼性の高い包括的なアンチウイルス対策の導入を検討してください。

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